派手なメイクや衣装、パフォーマンスなどが印象的なヴィジュアル系バンド。
90年代に爆発的な人気を誇り、日本の音楽ジャンルとしてその地位を確立し、音楽だけでなく芸術としても進化してきました。
この記事では、そんなヴィジュアル系バンドの特徴、80・90年代人気バンドの名曲・近年の活動状況などまとめていきたいと思います。
目次
ヴィジュアル系(V系)とは・・・
「V系」ともいわれるヴィジュアル系バンドは、日本の音楽シーンにとってとても重要な存在と言えます。
「ヴィジュアル系」と「ビジュアル系」
表記にも様々ありますが、当サイトでは「ヴィジュアル系」に統一したいと思います。
ヴィジュアル系という言葉の由来
「ヴィジュアル系」という呼称はX JAPANの『BLUE BLOOD』のキャッチコピーの、
「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」からきていると言われています。
「ヴィジュアル系」という言葉を初めて使ったのは、X JAPAN(当時X)の元ギタリスト・HIDEさんだとされていて、ヴィジュアル系という言葉が定着する前は「化粧系」という言葉が使われていました。
ヴィジュアル系バンドの外見特徴
ヴィジュアル系の定義は派手な衣装・メイク・髪型をしているのが特徴です。
80年代は、ゴシック・ファッションのような黒服が王道で、90年代になると煌びやかなファッションが主流となりました。
視覚表現もバンドによって様々で、色々な形に派生していき、
- 黒いエナメルや革に鋲を大量に身に付ける黒系
- ゴージャスな衣装と濃いメイクのコテヴィ系(コテコテのヴィジュアル系。コテ系)
- ポップでカラフルなメイクと衣装のオサレ系
- ストリート的でナチュラルメイクのソフヴィ系(ソフトヴィジュアル系)
- 派手な甲冑や着ぐるみ、制服などを着るコスプレ系
- 和服や昭和のような服を着ていることが多い白塗り系
などがあります。
ヴィジュアル系バンドの音楽特徴
初期(70・80年代)の頃は、日本国外のハードロックやヘヴィメタルに影響を受けたバンドが多いです。
なので、ヴィジュアル系の音楽的な要素はポジティブパンクとヘヴィメタルだと言えます。
そこから、パンク・ヘヴィメタルバンドの影響を受けた次の世代(90年代)では、歌謡曲からも影響を受け、
- 洗練されポップな様式
- 華やかさや煌びやかさ
- 哀愁や官能美、グロテスク
など、様々な表現への音楽と変化しました。
ヴィジュアル系バンドファンの特徴
ヴィジュアル系バンドのファンは熱狂的な方が多く、バンドメンバーと同じブランドの服を着たり、バンドの衣装を手作りをしたりとコスプレをする方が多いです。
ヴィジュアル系バンドの女性ファンの事を、「バンギャル」と呼び、「バンギャ」「ギャ」と略して呼びます。
また年齢を重ねたバンギャルや、長くバンギャルをやっている女性を「オバンギャ」「ババンギャ」、バンギャルの男性版を「バンギャル男」「ギャ男」と呼びます。
V系 80・90年代人気バンド・名曲・最新情報
「ヴィジュアル系」という言葉が使われ始める以前から、派手なメイク・衣装・髪型をしたバンドが多く活躍していました。
そういったバンドは現在のヴィジュアル系バンドに大きな影響を与えています。
ヴィジュアル系黎明期(80年代)人気バンド
DEAD END
日本ロックシーンにおいて、当時では考えられなかった “耽美”や“妖艶”というヴィジュアルや音楽性が多くのバンドマンに衝撃を与えました。
サウンドはアグレッシヴに畳み掛けるHM/HR (メタル/メタル・コア)
そこにボーカル・MORRIEさんの独特な詞がゴシック的デカダンスな世界観を築いています。
独特(異質?)な音楽性・世界観と共に得体の知れない混沌とした過激なヴィジュアルも注目されインディーズ・シーンで圧倒的な人気を誇りました。
現在活躍中のアーティスト達から、最もリスペクトされているバンドと言っても過言ではありません。
2009年 再結成
BUCK-TICK
BUCK-TICKはダークな世界観と派手なメイクで当時のロックシーンに大きな衝撃を与えました。
1989年にリリースされた3枚目のアルバム『TABOO』でチャート第1位を獲得し、名実共にトップアーティストの仲間入りを果たします。
バンド・ブーム期から現在まで途切れることなくメジャー・レーベルで活動を続ける数少ない現役であり、現在活躍するアーティスト達にも今なお影響を与えています。
因みにヴォーカルの櫻井敦司さんはヴィジュアル界3大美形の一人で、あの氷室京介さんに「お前顔がいいんだからドラムじゃなくてボーカルやれよ」と言われたお方です!
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ーーー 追記 ーーー
2023年10月19日、櫻井敦司さんはファンクラブ会員限定ライブ「FISH TANKer’s ONLY 2023」の途中で体調不良を訴え、病院に救急搬送されましたが、その日の夜、脳幹出血のため、亡くなりました。
デビューから35年間、メンバーが変わることなく走り続けてきたBUCK‐TICK。
櫻井さんの死は、メンバーにとってもファンにとってもあまりにも衝撃が大きく深い悲しみに襲われました。
バンド存続も危ぶまれましたが、2023年12月29日、日本武道館にて「バクチク現象-2023-」が開催されました。
ヴォーカル櫻井敦司亡き後、今後どのような形で活動を続けていくにのかはまだわかりませんが、これからも櫻井敦司さんと共にBUCK‐TICKのメンバーは走り続けていくと思います。
D’ERLANGER
フランス語で『淫靡な誘惑』という意味の「D’ERLANGER」
その名の通り、ダークな色気が溢れ出し、官能的な印象を受ける楽曲や世界観が特徴的なバンドで、この唯一無二の存在感に魅せられ、音楽の道に進んだ者も多くいます。
メジャー1stアルバムである『BASILISK』は、チャート5位を獲得していて、ヴィジュアル系の王道と呼ばれるスタイルを作り上げたアルバムの1つと言われています。
1990年に一度活動停止し、その後2007年に再結成。
今現在も新たにアルバムを作り全国ツアーを行うなど精力的に活動しています。
X (X JAPAN)
「ヴィジュアル系」という言葉を最初に使ったHIDEさんが所属するバンド「X」は、派手なメイクに派手な衣装。
そして、テンポが速くキーの高いボーカルが特徴的なバンドです。
Xはヴィジュアル系だけでなく、当時日本にあまり浸透していなかった「メタル」を世間一般に知らしめた存在でもあり、後続のバンドに大きな影響を与えたバンドでもあります。
1989年にXとしてメジャーデビューし、その後1992年に現在のX JAPANに改名しています。
そしてギターのHIDEさんは1998年に、ベースのTAIJIさんは2011年に亡くなり、現在はギターにLUNA SEAのSUGIZOさん、ベースにHEATHさんを加え活動を行っています。
ーーー 追記 ーーー
2023年10月29日、ベーシストのHEATHさんが大腸がんのため55歳で亡くなりました。
8月20日には、YOSHIKIさんのディナーショーにゲスト出演し、2人で「Rusty Nail」を披露しましたが、これが最後のステージとなってしまいました。
ビジュアル系黄金期(90年代)人気バンド
LUNA SEA
「LUNA SEA」は、これまでのヴィジュアル系バンドはダークで陰鬱な歌詞、速いテンポのメタル調の曲が多かった中、しっとりした曲調が多いバンドでした。
個性的な歌唱法や音作りで、このバンドにしか出せない唯一無二の音楽を生み出しています。
2000年に一度解散をし、2010年に活動を再開しています。
近年ではLUNA SEA主催のLUNATIC FEST.(通称:ルナフェス)というロック・フェスティバルが開催され、多くのバンドが参戦しています。
黒夢
バンド名は「夢が無い」「夢は叶わない」という意味。
1991年に岐阜県で結成された「黒夢」は、ダークで激しい曲調に鬱になりそうな暗い歌詞、ボーカルの清春さんの強烈な歌声で人気を集めたヴィジュアル系ロックバンドです。
ボーカルの清春さんはヴィジュアル系ファンの間でもカリスマ的人気を誇っています。
初期はヴィジュアル系として派手なメイクと過激なライヴパフォーマンスにより人気を博しましたが、後期になるにつれて徐々にパンク色を増し、きまぐれな音楽性でファンを飽きさせません。
MALICE MIZER
グループ名は「悪意と悲劇」というフランス語に由来。
クラシック音楽に親しんでいたメンバーも多く、ロックとクラシックを混ぜ合わせたような曲が特徴です。
中世ヨーロッパの軍服や貴族風の衣装だけでなく、世界観を重視した演出でも人気を集め、音楽と舞台芸術を見事に融合した「究極のヴィジュアル系」とも言われ、ヴィジュアル・ロックの歴史に多大な衝撃を与え、今なお伝説として語り伝えられています。
Gacktさんの失踪・ドラムのKAMIさんの突然死など、バンド内で亀裂が生じ、黄金期メンバーでの活動はわずか3年という短い期間でした。
Dir en grey
「DIR」がドイツ語で「銀貨」
「EN」はフランス語で「〜の」
「GREY」は英語で「灰色」
を合わせ、灰色の銀貨という意味。
今や世界的な知名度を誇るロックバンドとなったDIR EN GREY。
1997年に結成し、X JAPANのYOSHIKIさんがプロデュースしたことでも話題となりました。
バイオレンスでダークな世界観は多くの人の心を掴み、今でも独自の路線を走り続けているロックバンドです。
始めはかなり王道のビジュアル系サウンドが特徴でした。
2000年代に入ると海外のへヴィミュージックの影響を強く受けたことで重たいサウンドに変化していきました。
ボーカルの京さんが非常に多くの歌唱法、幅広い声域を使い分ける点も大きな特徴で、グロウル(デスボイス)やファルセット、ミックスボイス、さらに近年ではホイッスルボイスも多用しています。
ボーカル・京さんの激しいデスボイスやギターのチューニングを落とした重低音は、海外のメタルファンにも高い評価を受けています。
まとめ・・・
ヴィジュアル系をあまり聞いたことがない人でも「かっこいい」と思える曲があったのではないでしょうか?
ヴィジュアル系バンドは様々な音楽や先輩バンドの影響を受けて、それぞれに独自のスタイルを確立してきました。
今活動している若手バンドのルーツになった、当時のバンドを探してみるのも楽しいですよ!