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【窓ぎわのトットちゃん】あらすじ簡単まとめと誕生秘話!魅力的な世界観が素敵な一冊

 

この記事では、

についてお伝えしていきます。

【窓ぎわのトットちゃん】とは?

 

「窓ぎわのトットちゃん」はタレントの黒柳徹子さんが通った小学校「トモエ学園」でのエピソードをまとめた自叙伝です。

 

今から42年前に講談社から出版され、初版部数2万部は瞬く間に売れ、版を重ねていきました。

 

現在まで累計発行部数は日本国内で800万部

これまで世界35カ国で翻訳・発売され、2023年10月時点で、

全世界累計発行部数は2500万部を超えています。

 

最近中国では驚異的に売れているそうで、2003年の出版以来、 100万冊にはめったに達しないと言われる児童書で、脅威の350万部を販売。

海外でもその人気振りが伺えます。

 

そのことから「窓ぎわのトットちゃん」は、

 

などとも言われ、この記録は一般書の記録として現在も破られてはいません

 

また、芸能人の著書「タレント本」の先駆けなどとも言われています。

 

この本は、教育者の教育書として読まれたり、教科書や入試など教材にも採用されたり、

また子育てのヒントが隠されているような内容で多くの方々が読み続けている超ロングセラー本です。

 

「窓ぎわ」と「トットちゃん」の由来

「トットちゃん」は黒柳徹子さんの愛称です。

幼い頃の徹子さんは舌足らずで自分の名前の「徹子(てつこ)」と言えず「トット」と発音していたそうです。

 

また「トットちゃん」の「ちゃん」の部分も自分の名前だと思い込んでいたらしく、

自分の事を「トットちゃん」と呼び、周りの先生やお友達も「トットちゃん」と呼んでいました。

 

「窓ぎわ」については、

出版された当時、出世コースから外れて重要な仕事を任されず勤務している人やリストラ予備軍のサラリーマンがオフィスの窓際の近い席に移動させられているイメージから、

などと呼ばれており、

 

トットちゃんがチンドン屋を呼ぶために授業中に窓辺にいた事や、

トモエ学園に行く前の小学校での問題行動でどこか疎外感を感じていた事

などを含め名付けられました。

 

表紙絵・挿絵は絵本画家のいわさきちひろ

窓ぎわのトットちゃんの表紙絵・挿絵は、

子供の絵を生涯のテーマとして描きつづけた絵本画家の「いわさきちひろ」さんです。

 

 

水彩絵の具を使い、やわらかで淡く、優しい色調の描法が特徴のいわさきちひろさんの絵は、広告ポスターや雑誌、教科書などの挿絵などにもよく使われていました。

 

黒柳徹子さんは文章を書くにあたり、

「挿絵はいわさきちひろさんがいい!」

と初めから決めていたそうです。

 

いわさきちひろさんは、

1974年8月8日、原発性肝ガンのため55歳の若さで死去されています。

 

黒柳徹子さんが執筆されている時は、既にお亡くなりになっている後でした。

 

なので黒柳徹子さんはいわさきちひろさんのご主人に頼んで、絵を使うことを許してもらったそうです。

 

その後、いわさきちひろさんの息子とその奥様に手伝ってもらい、

自分が書いている文章に合う絵を選んだそうです。

 

事前に息子さんに文章を送り、その内容に合う絵を選んでもらい、その後に徹子さんも選びにちひろ美術館に通ったそうです。

 

窓ぎわのトットちゃんの世界観といわさきちひろさんの画風があまりにも調和がとれているので、その内容の挿絵を直に書いてもらっているものだと思っていたので驚きですね!

 

因みに、この不思議なご縁が元で黒柳徹子さんは、

「ちひろ美術館」の館長をされています。

 

「窓ぎわのトットちゃん」印税をすべて寄付

 

1981年「窓ぎわのトットちゃん」が大ベストセラーとなり、黒柳徹子さんはその印税をすべて寄付をして「トット基金」を設立し、理事長に就任しています。

 

トット基金では二つの大きな事業をやっていて、

といったろうあ者・身体障害者のための通所支援施設を運営されています。

 

なぜ黒柳徹子さんがこのような活動を熱心にされているかというと、

黒柳徹子さん自身も障害を抱えているという背景があります。

 

「小さいときから考えてきたこと」という自伝で、

 

「私はどうやらLD(学習障害)があったかもしれない」

と告白されています。

 

窓ぎわのトットちゃんを読んでいると、当時は「問題児」と扱われていましたが、

今でいえば、注意欠陥・多動性障害(ADHD)学習障害(LD)といった障害を抱えていたことがわかります。

 

そんな徹子さんが、歪むことなく、自分を卑下することもなく成長出来たのは周囲の方々の優しさのおかげであり、自身もそれを深く理解しているからこそ、

”今度は自分が違う誰かに対して受けた全てを返すんだ”

ということを人生の根幹に据えているからかもしれません。

「窓ぎわのトットちゃん」あらすじ簡単まとめ

 

 

尋常小学校1年生の時、問題行動が多かったことから担任から匙を投げられた(退学させられた)トットちゃん。

母親に連れられてトモエ学園にやって来ました。

 

「窓ぎわのトットちゃん」は、

東京都目黒区自由が丘にかつて存在した私立学校、

トモエ学園に転校し、太平洋戦争中の疎開で東京を離れるまでの数年間のエピソード

が描かれています。

 

もくじ一覧

■はじめての駅 ■窓ぎわのトットちゃん ■新しい学校 ■気に入ったわ ■校長先生
■お弁当 ■今日から学校に行く ■電車の教室 ■授業 ■海のものと山のもの

■よく噛めよ ■散歩 ■校歌 ■もどしとけよ ■名前のこと ■落語 ■電車が来る ■プール ■通信簿 ■夏休みが始まった

■大冒険 ■肝試し ■練習所 ■温泉旅行 ■リトミック ■一生のお願い!
■一番わるい洋服 ■高橋君 ■とびこんじゃダメ! ■「それからさあー」

■ふざけただけなんだ ■運動会 ■小林一茶 ■とっても不思議! ■手でお話
■泉岳寺 ■マサオちゃーん ■おさげ ■サンキュー ■図書室

■しっぽ ■二度目の春 ■白鳥の湖 ■畠の先生 ■はんごうすいさん
■「本当は、いい子なんだよ」 ■お嫁さん ■ボロ学校 ■リボン ■お見舞い

■元気の皮 ■英語の子 ■学芸会 ■はくぼく ■泰明ちゃんが死んだ ■スパイ
■ヴァイオリン ■約束 ■ロッキーが、いなくなった ■茶話会 ■さよなら、さよなら

 

短編集がまとまったこの本の内容を分類すると、

  • 小林校長先生(小林宗作)の人柄
  • トモエ学園のユニークな教育の様子
  • トモエ学園の面白行事
  • 実名で登場するクラスメイト達
  • 学園周辺や登下校時のできごと
  • 家族(父・母・愛犬ロッキー)のこと

に分かれています。

 

小林校長先生(小林宗作)の人柄

 

小林校長先生はトットちゃんと初めて会った日、お母さん抜きの2人きりで、

トットちゃんの話したいことがなくなるまで嫌な顔一つしないで真剣に4時間近く話を聞いてくれました。

今までそんな大人に会ったことがなかったトットちゃんは嬉しくて、安心感と暖かさを感じました。

 

小林先生はトットちゃんの頭に大きくて暖かい手を置いて、

「これで、きみはこの学校の生徒だよ」

と言い、迎え入れてくれました。

 

小林先生は、トットちゃんを小学校を退学させられた“問題児”だとは一切思わず、良いところが君にはたくさんあるんだよという想いをこめて、

「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」

という言葉をいつも伝えてくれました。

 

窓ぎわのトットちゃんのあとがきで、

「先生のあの言葉が無ければ、私は何をやっても叱られて、自分に自信が持てずコンプレックスになり、何もできない大人になっていたでしょう」

と綴っています

小林先生の言葉がどれだけ大きな自信を与え、支えになっていたかが分かります。

トモエ学園のユニークな教育の様子

 

トモエ学園はリトミック教育を行う全校生徒50人位の私立学校です。

リトミック教育とは・・・

スイスの音楽教育家で作曲家でもあったエミール・ジャック・ダルクローズが開発した音楽教育の手法。
開発者の名から、「ダルクローズ音楽教育法」ともいう。

 

  1. ソルフェージュ(声と動きの音感教育)
  2. リズミックムーブメント(身体運動を伴うリズム・表現教育)
  3. インプロヴィゼイション(即興演奏・即興表現による表現教育)

の三本柱と、身体の動きと即時反応が共通の方法になっている。

この方法により、心身の諸感覚機能および芸術的想像力や創造力を高め、精神と身体の調和を目指し、人間形成に資することを狙いとした心身二元論に根ざした音楽教育法。

引用:wikipedia

 

廃車になった電車を利用した教室や図書室があり、席順がないため毎日好きな席に座れてみんなと仲良くなれました。

 

授業は時間割がなく、毎朝黒板に今日行う教科が書いてあるだけです。

それぞれ自分が好きな科目から勉強しはじめる事ができ、分からなくなったら先生に聞いて1対1で教えてもらうことができます。

 

その日にやる教科が早く終われば、午後は好きなことができてたいがい「散歩」になりました。

一見、子供たちにとってお遊びの時間に思える散歩ですが、実は理科や歴史、生物の勉強を体感しながら学べる貴重な授業でした。

 

また体に障害がある子も含め、皆分け隔てなく自然に過ごせる環境でみんな一緒に伸び伸び成長することができました。

 

トモエ学園の行事

 

障害を持った子が大活躍する運動会や講堂にテントを張って行った「野宿」

温泉旅行という臨海学校など、

子供たちが目を輝かせ、活き活きと楽しむ姿が描かれています。

 

トモエ学園周辺や登下校時のできごと

 

元気でおてんばなトットちゃん。

講堂の裏道でトイレの汲み取り口にはまったり、学校帰りに砂の山に飛び込み抜けなくなって探しにきた母親に助けられる話はクスリと笑えるエピソードです。

 

特に面白かったのは、登校途中の駅で若いお兄さんが20銭売っていた、

噛むと元気か病気かわかる「木の皮」

 

どうしても欲しかったトットちゃんは小林先生に20銭を借り、手に入れます。

それをみんなに噛ませて元気か調べ、みんなが元気だとわかると益々元気になるトットちゃんが可愛らしかったです。

子供の変なお願いをちゃんと聞き、20銭をポンと貸してくれる小林先生もすごいです。

 

 

実名で登場するクラスメイト達

 

小学1年生のトットちゃんのクラスメイトは10人。その中でも、

が印象的です。

 

また、トットちゃんの初恋の人で「お嫁さんにしてあげない」と言った、物理学者の山内泰二さんも登場しています。

家族(父・母・愛犬ロッキー)のこと

 

トットちゃんを暖かく見守るパパとママと、可愛がっている愛犬ロッキーのエピソードは心が温まるものばかりです。

特に愛犬ロッキーが間違ってトットちゃんに嚙みついてしまった話やロッキーがいなくなる(死んでしまう)話は印象深いです。

 

【窓ぎわのトットちゃん】を読んだ感想

 

1つ1つのエピソードが面白く、心を動かされる話ばかりです。

近年多様性と高らかに言われていますが、小林先生はあの時代に先進的というか、本質的な目をもって本当の意味での教育の場をつくられた方なのだなと感じます。

 

愛情深く思慮に長けた先生と愛情深くトットちゃんを見守り、育てたご両親。

たくさんの愛に包まれたトットちゃん。

 

だから大人になっても子供のような純粋な気持ちを忘れず、好奇心旺盛なんだなと納得できました。

 

こんな素晴らしい先生がいるこんなに個性的な学校に行ってみたい!

個性を大事にしてくれる学校に子供を通わせたい!

 

そう思わせてくれる魅力的な世界観が素敵な本でした。

 

そして一番強く感じたことは、

「きみはいい子なんだよ!」

この言葉は、全ての子ども達に贈りたいですね!

「窓ぎわのトットちゃん」誕生秘話

 

「窓ぎわのトットちゃん」という本がどういう経緯で誕生したかというと、

初めは婦人画報で「わたしの学校」という記事が掲載され(今から60年位前)、それをよんだ講談社の方が、

「長い文で書きませんか?」

と原稿用紙を持って訪れたそうです。

 

しかし、あまり気乗りしなかった黒柳徹子さんは、「考えます」とだけ答え、頂いた原稿用紙は全部他の事に使ってしまったそうです(笑)

 

それから数十数年たったある日、再び講談社の方が、

「なにか本を書きませんか?」と話を持ち掛け,

 

その時黒柳徹子さんはそう言えばあの時頂いた原稿用紙は全部使ってしまったし、悪いから何か書こうかしらという気持ちになり、執筆することになったそうです。

 

ただその時に、「一度に書くのは大変なので連載モノで書けませんか?」と条件を出され、『若い女性』という月刊誌で連載することになりました。

 

連載は約2年くらい続き、その内容をまとめたのが、1981年に講談社から出版された

窓際のトットちゃんです。

 

初版本の窓際のトットちゃんの帯には、

『ニュースステーション』のキャスターの久米宏さんが書いています。

 

徹子さん曰く、

「一番近いところにいた人に頼んだ」

そうです。

 

当時、徹子さんと久米さんは生放送音楽番組『ザ・ベストテン』で安定感ある早口コンビで人気を博していました。

 

”一番近い人”が、一緒に仕事をしてたからというのはとても面白い理由で、徹子さんらしいですね(笑)

まとめ・・・

 

この記事では、

についてまとめました。

 

世界中で愛され、読み継がれている「窓ぎわのトットちゃん」

愛と勇気をもらえる一冊なので是非読んでほしいです。

 

【窓ぎわのトットちゃん】校長先生(小林宗作)はどんな人?生い立ち・経歴まとめ

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